ケニアからの招へい者と福島県会津若松市を訪問しました。2024年10月
2024.11.27
2024.11.27
ボンネットバス(観光用)の前で
都市・地域開発グループは、2024年10月23日~24日 、「ケニア ナイロビ首都圏公共バス改善プロジェクト」の本邦招へいに同行し福島県会津若松市へ出張しました。
同プロジェクトの一環で、ケニア道路運輸省やナイロビ首都圏交通局の高官など総勢12名が10/19~10/25の日程で日本を訪れている中での、福島県訪問でした。
ケニアにはいわゆる“公共交通機関”がなく、民間事業者が運行するバスやマタツ(中小型乗合バス)が唯一の公共交通モードとなっています。
ルールや規制がないまま複数の事業者が営業しており、安全性やサービスレベルも低い状態となっていることから、本プロジェクトではバスやマタツをめぐる行政の管理体制や役割分担を明確化することを成果の一つとして掲げています。
今回、そのプロジェクトの一環として、ケニア及びナイロビの関連機関の皆さまを日本に招くことになりました。
ナイロビ市内の交通の様子
招へいではバス事業の行政管理システムが機能している例として、日本の公共バスに係わる法制度、各機関の役割や公共バスのサービス向上に関する取り組みについて理解を深めてもらうため、行政(国交省、自治体)と民間のバス事業者などを訪問しました。
地方視察では会津若松市のみちのりホールディングス及び会津バスにご協力いただき、みちのりホールディングスからはバス事業を持続的に維持するための経営面での考え方、会津バスからは車両整備の状況について説明いただきました。
みちのりホールディングス
JICAとの関連では、ハノイ市の公共交通改善事業の実施や、バス関連の技術協力プロジェクトでの複数の研修受け入れに加え、本プロジェクトにおいても現地に短期専門家を派遣頂いています。同社は、主に東北・北関東のバス会社をグループに保有し、これからの日本における地域公共交通サービスの維持存続といった課題に取り組まれています。
経営面での工夫、事業の多角化など民間企業としての知見やノウハウをご紹介いただきました。
会津バス(会津乗合自動車株式会社)
最先端の機材や設備を持たない中でも、車検の基準を満たす車両整備を行うことができるという事例をケニア側にも理解してもらうことを目的に訪問しました。
一般的な整備工場で見られるようなリフト装置等はなく、木製の台のようなものを使っているなど、ケニアでも取り入れられそうな取組を見ることができました。全て新車を購入するわけにはいかないため、中古バスをオーバーホールして長く活用している等の話にケニア側は関心を寄せていました。
また、適切な車両整備を行えば、結果的には車両の耐用年数も長くなりコスト削減に繋がるということや、車検という制度を機能させることの必要性を再認識していた様子でした。
会津若松の民芸品「あかべこ」をラッピングしたEVバスを視察
現状ではガバナンスが聞いているとは必ずしも言えないケニアの公共交通運営ですが、今回の招へいでの視察や講義を通して得た日本の公共交通の管理・運営に関する体制や仕組みに関する学びや理解を、自国での改善へと繋げてもらいたいと思います。
ナイロビの遠景
ナイロビ国立公園(世界で唯一首都にある国立公園)
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